ご挨拶
愛媛でも、日本でも、そして世界でも力を発揮できるに人間に
松山大学法学部は、1988(昭和63)年に四国地方私立大学中の唯一の法学部として開設されました。その後の約40年にわたり、民間企業や県・市町村をはじめとする地域社会へ多くの人材を輩出してきました。卒業生たちは、それぞれが暮らす地域社会にとって欠くことのできない存在になっています。卒業生のなかには、法科大学院への進学を経て、実際に法曹資格を得て弁護士となっている者もいます。さらには、政治の世界に飛び込んで、地方公共団体の首長になって奮闘している者もいます。
私たち一人ひとりの人間は、他者との関わりの中で笑ったり、怒ったり、時には泣いたりしながら生活をしています。この生活の中で学習したこと及び体験したことに基づきながら、自分のこと、他者のことを理解していきます。法律学もまた、私たちの暮らす日々の生活から登場してきた学問であり、人々の笑いや怒りを伴う日々の生活を対象としています。ただ、法律学の特徴は、個人的な経験から日々の生活をとらえていくのではなく、紀元前のローマ時代から始まり現在に至るまで、失敗を重ねながらも獲得してきた人類の英知に基づいて日々の生活をとらえていくところに特徴があります。「法律」という規範、「基本的人権」、「立憲主義」といった考え方、近代社会にとって根本的な「個人」といった概念は、人類の英知の代表例です。それゆえ、法律学で学んでいく内容には、国または地域を問わず普遍的なものを含んでいます。若い時に、国または地域を超えても揺るぐことのない知識を習得しておくことは、その者が、世界に飛び出して行ったときの確固とした足場となっていくでしょう。また、激しく動いている現代社会においては、これまでに経験したことのない出来事に遭遇する機会も多くなります。そんな時には、とかく流行する言論、声の大きな者による言論の影響を受けてしまいがちです。法律学で学んだことは、このような事態に直面した時に、声の大きさではなく、普遍的なものにさかのぼって事態を評価・判断することを可能にしてくれます。法律学とは、まさに、これからの時代を生きていくのに欠くことのできない学問といえましょう。
さて、本学法学部は、みなさんに人類の英知としての法律学を体系的に学べるように、1年次から4年次にわたって科目を配置しています。そして、各科目について適切に教育できる専門的知識を有する教員を揃えています。この点は、都市部に設置されている大学に負けないものと自負をしております。教員からの講義を受講するだけでなく、教員と学生とのやり取りを通じて知識を深めていく演習も1年次から履修できるようにしており、本学部は教員と学生との距離が近いという特色を有しています。また、本学部は、愛媛県松山市に立地していることを強みとしています。なによりも愛媛県庁、松山市役所といった官公庁、松山地方裁判所、松山地方検察所、愛媛県警察、松山刑務所、法務局といった法律を執行する機関に近接しています。実際に法律が運用ないしは執行されている現場に直接出向いて見学することも容易に行えますし、これらの機関から職員を大学に招き、法律執行の実務を踏まえた講義などをしてもらうことも頻繁に行っています。
法学部の教員及び友人達と積極的に交流をし、図書館、法律用のデータベースなどの充実した本学の施設を利用し、地域の様々な機関の協力を受けながら大いに学んでいただきたいと考えています。そして、愛媛でも、日本でも、そして世界でも力を発揮できるような人間へと成長していってほしいと考えています。
法学部長 倉澤 生雄
概要
身に付けられる3つの力
01 論理的思考力
法律または政治にかかわる文章を論理的かつ客観的に読み、その内容を正確に理解する力を養います。
02 法的・政治的素養
他人が法律または政治に関する専門用語を用いて述べた発言の内容を正確に理解する力を養います。
03 法的・政治的コミュニケーション能力
在学中、とりわけ専門演習において修得した知識および体得した思考方法に従って、自分の考えを他人に文章および口頭で正確に伝達する力を養います。